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流行っている曲を、すぐにはかけない理由。

DJブースで機材を操作しながらマイクを持つ村長さん

話し手:村長 / 聞き手:パステちゃん
取材・構成:ジャパラボ編集部

知っているイントロが鳴った瞬間に、声が出る。みんなで歌ったり、跳んだりする。その時間を届けるために、DJは何を考えているのでしょうか。

今回は、J-POPを楽しむイベント「ジャパステーション」でプレイし、アイドルの振付師としても活動するDJ・村長さんにインタビュー。CANDY TUNE「倍倍FIGHT!」への思いから、振付とDJに共通する「引き算」、流行の曲をあえて少し待ってからかける理由まで聞きました。

01 / ROOTSタイの学校のDJ部から、渋谷のクラブへ。

パステちゃん

まずは、DJを始めたきっかけを教えてください。

村長

中学生のとき、父の仕事でタイに住んでいたんです。通っていたインターナショナルスクールにDJ部があって(笑)、興味本位で入ったのが最初でした。

高校に入ってすぐ、「ダンス部の活動に必要だから買って」と親を騙して、当時6万円くらいのTraktorのDJコントローラーを買ってもらいました。

その後、HIPHOP DJのDJ BOZEさんと出会って、つなぎやグルーヴのセンスに感銘を受けて弟子入りしました。20歳になってすぐ、ATOM SHIBUYAで現場デビュー。実は今年で11年目になります。マイホームですね(笑)。

J-POPをプレイするようになったのは、どんな流れだったのでしょうか?

村長

本業でアイドルの振付師をしている影響で、先にアイドルソングのDJをやっていました。そこからもっと広げて、J-POP DJとしても活動したいと思ったんです。

学生の頃から一緒にDJをしていたSHORIに、8年ぶりくらいに連絡して。そこからジャパステに出るようになりました。

02 / MY ANTHEM教えてきた生徒の歌声が、自分のアンセムになった。

村長さんらしさが出る一曲を挙げるなら?

村長

CANDY TUNEの「倍倍FIGHT!」です。ここぞというときにかけています。

玉屋2060%さんの渾身の一曲。コール&レスポンスがあって、みんなで踊れるパートもある。何より、元気の出る歌詞が素敵で最高です。

CANDY TUNEには、僕がアイドルの振付を教えてきた生徒もメンバーとして在籍しています。その子たちが歌っている曲が、自分のDJのアンセムになっているのは、なんか誇らしいですね(笑)。

実際にかけたとき、フロアではどんな反応が起きますか?

村長

最初の呼びかけのところから、お客さんとコール&レスポンスができるんです。その後のイントロでは、みんながジャンプしてくれます。

2サビの後にも、もう一度コール&レスポンスができるパートがありますし、こちらが「いっせーのーせ!」と呼びかけて、みんなで声を合わせるところもありますね。

自分が教えてきた生徒の歌声を、今度はDJとしてお客さんに届けられるのは、やっぱりすごく誇らしいです。その曲でフロアのみんなが歌ったり踊ったりしている姿を見られるのは、うれしいですね。

村長さんが使っている「ドパイントロ」は、どんな意味なのでしょうか?

村長

僕の造語で、聴いた瞬間に気持ちが高まって、思わず声を出したり、体を動かしたくなったりするイントロのことです。

最初の音だけで「来た!」となる、あの感覚ですね。

観客が手を上げるステージでジャンプする村長さん
村長さんの出演風景。写真:ご本人提供

03 / PERFORMANCE動きも音も、足し算だけではなく引き算を。

振付師・ダンサーとしての経験は、DJにもつながっていますか?

村長

お客さんから自分がどう見えているか、どんな印象を与えているかという見せ方や表現、それからマイクでしっかり声を通すことなどには、経験が生きていると思います。

振付とDJに共通して意識しているのは、「足し算だけではなく、ちゃんと引き算もする」ということです。

ただ大きく動けばいいわけではないですし、全部に動きや音を足すと、見た目も音もうるさくなってしまう。だから、どこで足して、どこで引くか。そのバランスを大切にしています。

音の「引き算」は、例えばどんな場面で意識しますか?

村長

僕はサンプラーをよく使います。キル・ビルのサイレンや、レゲエホーン、レーザー音、ビルドアップの音などですね。

ただ、それも打てば打つほど盛り上がるわけではないので、入れるタイミングや回数、曲とのバランスは意識しています。動きも音も、必要なところで効果的に足すという考え方ですね。

04 / TIMING流行り始めた曲を、あえて少し寝かせる理由。

DJブースで機材を操作する村長さん
村長さんの出演風景。写真:ご本人提供

次にかける曲は、何を見て決めていますか?

村長

基本的にはフロアを見ています。前の盛り上がりだけじゃなく、後ろの反応も見ていますね。

この人たちはどんな曲が好きなんだろう、アイドルかな、邦ロックかな、と。いろいろな曲をかけて、反応が多かったジャンルを攻めるようにしています。

自分のセットの中でのテンションの波も、とても意識しています。基本的にはアゲアゲが好きなんですが、急に下げて、突拍子もない曲でクスッとさせることもあります。

それから、DJはリレー競技なので、一晩の流れを見て、まだほかのDJがやっていないジャンルや曲をかけることも意識しています。

トレンドも追いながら、「もう少し寝かせよう」と待つこともあるそうですね。

村長

TikTokで流行り始めているアイドル曲で、そう判断することが多いです。直近だと、=LOVEの「恋、はじめました。」や、iLiFE!の「アイドルライフメガパック」がそうでした。

アイドルに敏感な人は知っていても、それ以外の人にはまだ届いていないと感じたからです。

アイドルが好きな人はもちろん楽しめて、普段アイドルを聴かない人も「どこかで聴いたことがある」と思えるくらいのタイミングを意識しています。

「そろそろかけられそう」と判断するきっかけはありますか?

村長

TikTokでその曲を使った投稿が増えているか、自分のタイムラインでも目にする機会が増えているか。あとは、街中の有線で流れるようになったか、などですね。

そういう変化を見ながら、アイドルファン以外にも浸透してきたと感じたところで、かけ始めています。

実際にかけたときの反応は、結構よかったと思います。少し寝かせたとはいえ、かなり早い段階でかけているので、お客さんも「この曲、もうクラブで聴けるんだ!」という驚きを感じてくれていると思います。

みんなが知り始めているけれど、フロアで聴く新鮮さもある。そのタイミングは大事にしています。

05 / YOUR WAY声をかけてくれても、自由に過ごしてくれても。

DJをやっていてよかったと感じるのは、どんなときですか?

村長

出番が終わってフロアに戻ったとき、初めましての人に「めっちゃよかったです!」と話しかけてもらえたり、常連さんに「今日のあのつなぎよかった」と言ってもらえたりすると、考えて仕込んできてよかったなと思います。

怖くないので、話しかけて仲良くしてください。わりといいやつです。

初めてジャパステへ来る人には、どんなふうに楽しんでほしいですか?

村長

よく分からなかったら、周りのまねをしてみてもいいです。分からない曲でも、知っているふりをして歌ったり、乗ってみたりすると、なんか楽しいです。

でも、人のまねをしなくても大丈夫。みんなが騒いでいるときに、一人でドリンクを飲んでチルしてもいいし、逆にバラードで踊りまくっていてもいい。

俺も「飛べ!」「歌え!」「騒げ!」だの命令しますが、聞いてくれてもいいし、無視してもいいです。

慣れてきたら、「今まで知らなかったけど、なんかいいかも」という一曲を見つけてみてください。モニターに曲名が出ているので、サブスクで検索して、プレイリストに追加してください。ジャパステへようこそ。

06 / NEXT STAGE「でっかい景色、見ましょう。」

すでにDJをしていて、J-POPにも挑戦したい人へアドバイスをお願いします。

村長

プレイが好きなJ-POP DJを、2〜3人見つけてみてください。

その人たちの好きなところを、いいとこ取りして混ぜ合わせたものが、自分のスタイルになります。

最後に、これから挑戦したいことを教えてください。

村長

国内外のスーパーフェスに出まくって、世界一のJ-POP DJになります。

ついてきてください。でっかい景色、見ましょう。俺これマジでやります。

村長の公式プロフィール写真
PROFILE

村長(SONCHO)

HIP-HOP DJとして培ったグルーヴ感とミックスセンスを軸に、J-POPやアイドル楽曲でも活動するDJ。アイドル振付師としても活動し、MCを交えたパフォーマンスや、意外性のある選曲を持ち味とする。

2024年から「ジャパステーション」に参加。「超ジャパステーション」のメインフロアをはじめ、企業イベントやお祭りなどにも出演する。

写真:ご本人提供
構成・編集:ジャパラボ編集部