曲が始まる前の音にも、みんなの記憶がある。

パステちゃん曲の最初に鳴る、たまごっちの呼び出し音。その音を聴いたお客さんが「これ聞いたことある!」と気づいて、曲が始まると盛り上がる。アニソンからDJを始め、J-POPを楽しむイベント「ジャパステーション」でもプレイするWATAさんは、そんな一瞬を大切にしているそうです。
今回は、好きだった音楽が今の選曲につながっていく話を聞きました。高校の吹奏楽部で演奏した「銀河鉄道999」、家でつないで遊んだスピッツ、そしてクラブでかける「GO-GO たまごっち!」。曲を聴く前の小さな音まで覚えているって、面白いね。WATAさんがフロアで見つけた反応を、もう少し聞いてみよう。
アニクラとの出会いから、DJへ。
DJを始めたきっかけと、J-POPをプレイするようになったきっかけは?
WATA
DJを始めたきっかけは、川崎の月あかり夢てらすで開催されていたアニクラとの出会いです。
当時、月夢の近くにあるバーでバーテンダーをしていて、月夢のお客さんもよく遊びに来てくれていました。その中で「月曜の深夜にアニソンだけのクラブイベントをやっている」と聞いて、「そんな面白そうなイベントがあるんだ」と興味を持って遊びに行ったのが最初でした。
実際に行ってみたら、それまで自分が知らなかった世界で、かなり衝撃を受けました。そこから「自分もDJをやってみたい」と思うようになって、当時、月夢で毎週火曜日に行われていたブースレンタルデーに通って練習していました。
そのうち人前でもやってみたいと思うようになったタイミングで、月夢のMuraさんから声をかけていただき、2018年に遊びに行っていたアニクラでDJデビューしました。
J-POPだけでDJをしたのは、コロナ禍の際の配信イベントが最初だったと思います。
もともとアニメが好きなのでアニソンももちろん好きなんですが、自分の音楽のルーツには昔からJ-POPがあります。高校時代は吹奏楽部で、ミュージックエイトのJ-POPの楽譜や、「ニュー・サウンズ・イン・ブラス」の中の「ジャパニーズ・グラフィティ」シリーズなども好きでした。
そういう昔から好きだったJ-POPを、そのままDJでもプレイできたら楽しいだろうなと思ったことが、J-POP DJを続けている理由の一つです。
吹奏楽部では、何を演奏していましたか? 当時好きだった曲で、今のDJにもつながっている曲はありますか?
WATA
高校時代は吹奏楽部で、トランペットを担当していました!
特に覚えているのが、「ジャパニーズ・グラフィティXII」で演奏した「銀河鉄道999」です。当時からすごく好きな曲で、今でも印象に残っています。
今はジャパステでも「銀河鉄道999」をよくかけていて、DJではEXILEのバージョンを使っています。
自分より上の世代の方が見ていたアニメの曲なのに、今クラブに遊びに来ている若いお客さんも知っていて、盛り上がってくれるのが面白いですし、びっくりします。
吹奏楽をやっていた頃からJ-POPの曲を演奏すること自体が好きだったので、当時好きだった曲が、形を変えて今のDJの選曲にもつながっているのかなと思います!
高校時代に演奏していた吹奏楽曲
たまごっちの呼び出し音を、最初から。
自分らしさが出る選曲を、具体的な曲と一緒に教えてください。
WATA
自分らしさが出る曲でいうと、「GO-GO たまごっち!」はかなり印象に残っています。
男なんですけど、昔からたまごっちがめちゃくちゃ好きで、特にくちぱっちが大好きでした(笑)。当時はたまごっちのアニメも隠れて見ていたくらいです。
それを今、ATOMなどのクラブでかけてみると、思っていた以上に若いお客さんたちが知っていて、すごく盛り上がってくれたんです。「みんな意外と見てたんだ!」と思いました。
自分が昔好きだった曲や、普通のJ-POP DJではあまり選ばれないような曲でも、実はみんなの記憶の中に残っている。そういう曲を見つけてフロアで共有できるのは、自分のDJらしさの一つなのかなと思っています。
「GO-GO たまごっち!」は、どんな流れでかけたんですか? お客さんが気づく瞬間も聞きたいです。
WATA
「GO-GO たまごっち!」をかけたときは、かわいい感じのアイドルソングをかけていて、お客さんの反応を見ながら「この雰囲気だったら、かわいい感じのアニソンもいけるかな」と思って選曲したのを覚えています。
この曲をかけるときに自分の中でこだわっているのが、曲の最初に入っている「たまごっちの呼び出し音」を絶対に聴かせることです!
その音が鳴った瞬間に、お客さんが「これ聞いたことある!」みたいな感じで気づいてくれて、そこから曲が始まって盛り上がってくれることが多いです。
曲そのものはもちろんですが、そういう細かい音まで拾って反応してくれるお客さんがいると、DJをしていてすごく嬉しいです!
WATAさんがDJで使用しているのは、ならゆりあ「GO-GO たまごっち!」のTVサイズ版です。
J-POP DJならではの楽しさは、どこにありますか?
WATA
一番は、みんなが知っている曲で一緒に楽しめることだと思います。
J-POPって、普段聴いている音楽や好きなジャンルが違う人同士でも、「この曲は知ってる!」という瞬間がすごく多いんですよね。
クラブで曲が流れた瞬間に、知らない人同士でも一緒に歌ったり、同じところで盛り上がったりする。カラオケとはまた違う、クラブだからこそ生まれる「みんなで歌って楽しむ一体感」が、J-POP DJならではの面白さだと思っています。
DJをやっていてよかったと感じた、印象に残っている場面は?
WATA
もともとアニソンからDJを始めたので、その経験を活かした選曲でフロアが盛り上がったときは、DJをやっていてよかったなと思います。
J-POPの現場でも、他のDJさんがあまりかけないようなアニソンを選ぶことがあって、それをかけた瞬間にお客さんが反応してくれたり、盛り上がってくれたりするとすごく嬉しいです。
自分が好きで聴いてきた曲や、自分だからこそ選べる曲がお客さんにも刺さった瞬間は、特に印象に残っています。
「この曲知ってる!」から、次の一曲へ。

次にかける曲は、何を見たり考えたりして決めていますか?
WATA
一番に考えているのは、お客さんの反応です。
自分自身アニメが好きなのでアニソンもかけますが、もちろんクラブに来ている人全員がアニメを見ているわけではないので、「今日はアニソンより違う曲の方が反応が良さそうだな」と感じたら、アイドルをかけたり、ロックをかけたり、今流行っている曲を選んだりします。
大学生の頃はロックフェスにもよく遊びに行っていたので、その頃に聴いていた曲も自分の引き出しの一つです。
あとは普段、YouTubeなどで最近流行っている曲を流していることも多くて、その中でパッと聴いたときに「これ、大きなクラブで大きな音で聴いたら気持ちいいだろうな」と思った曲を覚えておいて、実際にDJでかけたりもします。
ジャンルにこだわりすぎるというより、その日のフロアを見ながら、そこにいるみんなが盛り上がって楽しめることを一番に考えて選曲しています。
初めてジャパステに遊びに来る人へ、楽しみ方のメッセージをお願いします。
WATA
難しく考えずに、知っている曲が流れたら「この曲知ってる!」って盛り上がるだけでも全然いいと思います。
逆に、今まで知らなかった曲が流れて「この曲いいな」と思える曲に出会えるのも、DJイベントの楽しさの一つです。
慣れてきたら、好きな曲が流れたときに「この次は何が来るんだろう?」って、DJの選曲を予想しながら聴いてみるのも面白いと思います。
あとは本当に自由で、お酒を飲める人はお酒を飲みながら、飲まない人はジュースを飲みながら、知っている曲で盛り上がる。それくらい気軽に遊びに来てもらえたら嬉しいです。
スピッツをつないでいた、DJの始まり。
これからJ-POP DJを始めたい人が、まずやってみるといいことは?
WATA
まずは自分の好きな曲を集めて、その曲だけでDJをやってみるのがいいと思います。
最初から「クラブで盛り上がる曲をかけなきゃ」とか難しく考えるより、自分が好きな曲同士をどうやってつないだら楽しいか、いろいろ試してみるところからでいいと思います。
僕も昔からスピッツが好きなので、ジャパステに出演する前は、家で暇なときに一人で「スピッツメドレー」みたいなものを作って遊んでいました!
そうやって好きな音楽で遊んでいるうちに、「この曲とこの曲って意外とつながるんだ」とか、DJならではの面白さが少しずつ分かってくると思います。
そのスピッツメドレーには、どんな曲を入れていましたか? 当時、つないでいて楽しかったことも聞かせてください。
WATA
DJを始めたばかりの頃に作っていたものなので、正直、具体的な曲順まではあまり覚えていないです(笑)。
「ロビンソン」や「空も飛べるはず」のような定番曲も入れつつ、自分が特に好きだった「ハチミツ」や「群青」なども使って、「この曲からこの曲にいけるかな?」と試行錯誤しながらつないでいた記憶があります。
今思えば、その頃は「綺麗につなごう」とか、技術的なことは全然考えてなかったと思います(笑)。とにかく自分が好きなスピッツの曲を集めて、それをDJでつないで遊ぶこと自体が楽しかったです!
今振り返ると、上手くやろうとするより先に、好きな曲を使って自由に試していたことが、DJを楽しむ最初のきっかけになっていたのかなと思います。
家でつないで遊んでいたスピッツの曲
今後やってみたいことや、挑戦したい現場はありますか?
WATA
今までは、自分がどういうDJをしているのか、どういう音楽が好きなのかを、あまり自分から発信できていなかったと思っています。
なので、今回のインタビューも一つのきっかけにして、これからはもっと発信して、「DJ WATAってこういうDJなんだ」ということを、いろいろな人に知ってもらえたら嬉しいです。
挑戦したい現場については、今のところ「絶対にここに出たい」という場所があるわけではなくて、大きなクラブから地域のお祭りまで、規模や場所に関係なく、呼んでいただける場所があれば全力でDJしたいと思っています。
パステちゃんのひとこと
曲が始まる前の音で気づく人がいるって、好きだったものは、細かいところまで覚えているんだね。WATAさん自身も、吹奏楽で演奏した曲や、家でつないだスピッツを今につなげている。次にDJを聴くときは、サビだけじゃなく、最初の音にも耳を向けてみたくなりました。

WATA
2018年、川崎・月あかり夢てらすの「あにくら!」でDJデビュー。翌年「ヲタリズム2019」に加入し、「冬の宴2019」ではアリーナのトリを務めた。
アニソンとJ-POPを軸に、意外性と一体感のある選曲を持ち味とする。渋谷・新宿のATOM「ジャパステーション」を中心に活動し、イベント主催にも携わる。

