大事なのは盛り上がるための準備をする時間

手を上げて歌う時間も、身体を揺らす時間も、友人と話す時間も。「今日は楽しかった」と思える夜の中には、どんな選曲があるんだろう。
今回は、J-POPを楽しむイベント「ジャパステーション」でプレイするshikiさんに聞きました。秋葉原のクラブ・MOGRAで出会ったDJへの憧れ、パソコン音楽クラブの曲から広がったお客さんの「好き」、そして「盛り上がるための準備をする時間」。踊っているときだけでは見えない、DJの視点をのぞいてみよう。
01 / ROOTS爆音を求めていた自分が、DJになった。

DJを始めたきっかけと、J-POPをプレイするようになったきっかけは?
shiki
もともとクラブにはよく遊びに行っていて、決まった箱やジャンルはなく、とにかく音楽が爆音で流れている場所を求めていました。
そんな中、秋葉原にあるMOGRAというクラブで、D-YAMAさん、haraさんのお二人に出会ったのですが、とにかくかっこよくて(笑)。遊び方を無限大にしてくれるようなDJプレイというか。そんな二人みたいになりたいなと思って、DJをしっかりやってみようかなと。
J-POPを始めた理由は、幅がかなり広くて、単純に面白いなと思ったからです。子ども向け、学生向け、お父さんお母さん向け、アイドル好きな方向け、バンドが好きな方向けなどなど。音楽のジャンル以外にも区分があるので、何でもできて楽しいなーっていう。
お二人の「遊び方を無限大にしてくれるようなDJプレイ」って、どんなものでしたか?
shiki
さっきまでガンガン歌って手を上げる系の音楽が流れていたのに、次は身体を揺らす心地いい音楽が流れていたり。ダンスミュージックが流れていたのに、突然カラオケJ-POPが流れたり(笑)。緩急があるので、盛り上がりの爆発力が半端ないですよね。
最初に遊びに行ったときは「いろいろ流れていて楽しい!」だけだったんですが、今思い返すと、この後の時間に盛り上がってほしいからの選曲だったり、遊び方を誘導されていた気がします(笑)。
あとは「次はこの曲、このジャンルが流行る!」などのメッセージ性も多かった気がします。もちろん、その曲は初めて聴くので知らないんですけど、音楽のマーケットを知るみたいな、別のベクトルの座学的なところでもめちゃめちゃ面白かったです。
とにかくお二人のプレイは飽きなかったです(笑)。何度も遊ばせてもらいましたし、勉強させてもらうことが多かったです。セットリストをメモして、家で模擬プレイしたことも何度もあります。これからも遊びに行き続けると思います。
02 / BUILDING THE NIGHT盛り上がるための準備をする時間。

次にかける曲は、何を見たり考えたりして決めていますか?
shiki
盛り上がりって継続しないというか、やりすぎると疲れちゃうと思うんです。アーティストさんのライブの中にも、バラード曲が組み込まれていますよね。
盛り上がりに慣れてしまう、ではないですけど……「今日のここが楽しかった!」っていう一番のポイントが薄くなってしまうといいますか。
自分がDJをするときは、次の盛り上がりに備えた時間も大事にしています。バーにお酒を買いに行ったり、友人と話したり、推しのDJさんとお話ししたりする時間です。
はたから見るとお客さんの身体の動きが小さくなるので、盛り上がっていないように見えるかもしれませんが、実は足が動いていたり、足を止めてVJさんの映像を凝視していたり、バーカウンターが混み出したり。一日を通して「このイベントが楽しかった!」と感じてもらうためには、「盛り上がるための準備をする時間」が必要だと思っています。
そんな時間を演出することにこだわっていたりします。自分自身もそういうセットを組むのが好きだったりするのもあるのですが、そこを演出できるDJさんがやっぱり上手いなーと常に思っています。「一日を通して楽しかったと思ってもらうには、どうしたらいいか」を考えて、選曲をするようにしています。
語っていますが、自分はまだ未熟者なので、もっともっと曲を聴いて練習を続けていきます!(笑)
「DJをやっていてよかった!」と感じるのは、どんなときですか?
shiki
まず、出演のたびに、笑顔で帰宅するお客さんを見て「DJをやっていてよかった」と思っています。良い一日になって嬉しいなって。
自分は少しニッチなアーティストさんが好きだったりするので、出演後に「あの曲なんですか!」って聞いてくれることがあります。好きの幅が広がって嬉しいなって思います。
曲を尋ねてくれたお客さんの「好き」が広がった、具体的な出来事を教えてください。
shiki
フロアが一度、爆盛り上がりした後に、次の盛り上がりを起こしやすくするために、一度、抜け感が気持ちいい、心地いい音楽をかけたいなと思って、パソコン音楽クラブさんの「Hello feat. Cwondo」をかけました。
最前で爆踊りしていたお客さんから「あの曲なんですか? めちゃめちゃあの時間気持ちよかったです」と言っていただいて、すぐにInstagramからYouTubeのリンクを送って(笑)。
その後、パソコン音楽クラブさんが出演しているイベントに、自分が遊びに行って。その方とは会えなかったんですが、Instagramのリールを見たら、その方も同じイベントに遊びに来ていたのを発見して、嬉しい気持ちになったのを覚えています。
03 / DANCE IN J-POPスピーカーの前で、好きな音を探す。

自分のDJらしさが出る選曲や、得意な雰囲気は?
shiki
例えば、ハウスやガラージ、ドラムンベースの要素があったり。J-POPの中でも、ダンスミュージックの色が出ている音楽を集めがちです。
理由は、自分がクラブに遊びに行くとき、没入型タイプだからかもしれません。ずっとスピーカーの前で横揺れしながら好きな音楽を探して、すぐに購入しています(笑)。
この6曲から、ダンスミュージックをあまり聴かない人に、まず一曲届けるなら?
shiki
パソコン音楽クラブの「Child Replay」です。ポップス×ダンスミュージックの中だと、自分は大好きな一曲です。
4分の中に、抜けやボーカルが入っていない箇所が多いんですが、それだけにサビの盛り上がりが半端ないです。「この30秒を聴いてほしい、そのために他の箇所が存在する」ような……。ご本人たちとお話ししたわけではないので、私の主観です(笑)。
04 / YOUR OWN WAY歌っても、揺れても、聴いているだけでも。
shikiさんが思う「J-POP DJならではの楽しさ」は何ですか?
shiki
フロアでの遊び方が無限大だと発信しやすいことですかね。横揺れしたっていいし、縦乗りしたっていいし、踊ったっていいし、歌ってもいいし、お酒片手に聴いているだけでもいいし。
いろんな遊び方を発信しやすい環境で楽しいです。
初めてジャパステに遊びに来る人へ。「こんな楽しみ方でいいよ」というメッセージをお願いします。
shiki
縦乗りしたっていいし、横揺れしたっていいし、音楽を聴いていてもいいし、踊ってもいいし、歌ってもいいし、会話していたっていいし、お酒を飲んでいてもいいです。
遊び方は無限大です。そうしていくと、気づいたら自分と共通点のある友人が増えて、楽しくなっていくと思います。
これからJ-POP DJを始めたい人が、まずやってみるといいことは?
shiki
今は無料アプリでも手軽にチャレンジできるので、まずは自分が好きな2曲を流して、つないでみるといいと思います。
自分が気持ちいいと感じるつなぎ方を探してみる。正解はないので、気軽にやってみてください。
今後やってみたいことや、挑戦したい現場はありますか?
shiki
商業施設さんやイベント、飲食フェスさんなど、たくさん挑戦してみたいです。理由は、盛り上げるだけではなく、お客さんが今日という一日をどう楽しみたいのかなと考えるのが好きだからです。良い日になるように、お手伝いできればなと。
やってみたいことは、自分のオリジナル曲作りです。自分は歌えませんが、今はVOCALOIDなどもあるので。

shiki
2021年10月にDJ活動を開始。J-POP、BASS MUSIC、アニメソング、インターネットミュージックを軸に、秋葉原MOGRA、ATOM TOKYO、ZEROTOKYOなどで活動する。
アニメソングアーティストのバックDJや、さいたまスーパーアリーナで開催されたコカ・コーラ社主催のサマーフェスなど、大型イベントにも出演する。
写真:ご本人提供
構成・編集:ジャパラボ編集部

