歌詞でつなぐ物語と、フロアの意外な一曲

アニソンやJ-POPを中心に活動するDJ、OROCHIさん。もともとはラッパーとして活動していたそうです。
「キセキ」から「花」、そして「Pretender」へ。曲の歌詞をつないで恋愛の物語を組んだり、「粉雪」の大合唱の後にジェロの「海雪」をかけたり。おなじみの曲を思いがけない順番で届ける選曲と、好きな作品への思いを伺いました。
話し手:OROCHI / 聞き手:パステちゃん
ラッパーから、アニソンDJへ。
DJを始めたきっかけと、J-POPをプレイするようになったきっかけを教えてください。
OROCHI
もともとHIPHOPが好きで、ネットラップのシーンでラッパーをしていました。その頃からDJにも興味があったんです。アニメも好きだったので、先輩に教えてもらったアニソンDJイベントへ遊びに行ったら、すごく楽しくて「これがやりたい!」と思いました。
ラッパーでしたが、DJはアニソンから始めました(笑)。本格的にJ-POPをプレイするようになったのは、ジャパステがきっかけです。
編集部補足:「ジャパステ」はジャパステーションの略称。渋谷・新宿を拠点に、J-POPのDJイベントを企画・運営しています。公式サイト
OROCHIさんが思う、J-POP DJならではの楽しさは何ですか?
OROCHI
カラオケみたいにみんなで歌ったり、フェスみたいに盛り上がったり、振り付けを踊ったり、ただめちゃくちゃになったり(笑)。慣れ親しんだ日本の音楽で、いろいろな楽しみ方ができるのが最高だと思います。歌詞もちゃんと伝わるので、ストーリーを演出したりできるのも楽しいです。
「こんな曲あったな!」を、フロアで。
自分らしさが出る曲や、得意な雰囲気はありますか? 曲を選ぶ理由も聞きたいです。
OROCHI
自分らしさを特定の曲だけで表すのは難しいと思っています。ただ、「名探偵コナン メイン・テーマ」と「本日、満開ワタシ色!」は、本当に好きな作品の象徴的な曲で、長年アニソンの現場でかけ続けてきました。今では周りから「OROCHIといえばこの曲だ」と言われることもあります(笑)。格闘家の入場曲みたいなものかもしれません。
選曲面では、有名すぎて意外と盲点になっている往年の名曲や、「こんな曲あったな!」と思える曲を拾って、フロアの一体感を作るのが好きです。
井上陽水の「少年時代」、SMAPの「世界に一つだけの花」など、「意外とかからないよなー、よしかけよう!」となって、結果みんなで大合唱してて良かったです。ジェロの「海雪」で予想外に沸いた時は少しびっくりしたのを覚えてます。
雰囲気はダークでエモーショナルな感じが得意です。有坂美香の「dis-」や、Kalafinaの「oblivious」、Aimerの「ninelie (with chelly)」などは特に好きでプレイすることも多いです。
「海雪」をかけたときは、どんな流れで、お客さんはどう反応していましたか?
OROCHI
冬の時期に、ほかのDJが「津軽海峡・冬景色」をかけてフロアが盛り上がっているのを見て、「次の出番で『海雪』をかけてみようかな」と思ったんです。たしか、レミオロメンの「粉雪」でサビの大合唱が起こった後につなぎました。
イントロでは、正直みんなピンと来ていない様子でした。でも新宿のジャパステではステージ横に曲名と歌詞が表示されるので、それを見て「これか! 懐かしい!」という反応が起きて。意外すぎたのか笑い転げている人もいました(笑)。サビでは結構な人数が歌ってくれて、かけてみてよかったと思いました。


「キセキ」から「花」、そして「Pretender」へ。
次にかける曲は、何を見たり考えたりして決めていますか?
OROCHI
現場によりますが、男女比や日本人・外国人の割合、世代感などを見ています。あとは、盛り上がりが続いて疲れていないか、同じ雰囲気に飽きてきていないかも意識して、次の曲を決めます。
そしていい意味でお客さんの予想を裏切っていく選曲も意識しています。
ラッパーとしての経験は、今のDJにどうつながっていますか? 歌詞でストーリーを演出した選曲も教えてください。
リリックは歌詞のこと。
OROCHI
音楽面でもパフォーマンス面でも、ラッパーとしての経験はかなり生きていると思います。曲順に意味やストーリーを持たせるのが好きなのも、自分でリリックを書いていた影響かもしれません。
たとえば、GReeeeNの「キセキ」からORANGE RANGEの「花」、そしてOfficial髭男dismの「Pretender」へつなぐことがあります。
「キセキ」で大切な人と出会い、これからも一緒にいたいと願う。「花」でその出会いへの感謝と、限りある時間の中で愛を育む思いを重ねる。そこから「Pretender」で、好きなのに結ばれない現実へ落とすんです(笑)。
ズッコケるような展開にも見えるけど、現実の恋愛ってそういうこともありますよね。この3曲の物語を繰り返した先には、どんな「4曲目」があるんだろう、と考えるのも楽しい。
何か一つのメッセージを伝えるというより、そうやって曲のストーリーで遊んでいます。気づいてもらえなくてもいい、くらいの気持ちで細かく組むこともあります。
「あー楽しかった」と、帰っていける場所に。
DJをやっていてよかったと感じるのは、どんなときですか?
OROCHI
お客さんからいい反応をもらえるのはもちろん、その日を楽しみに来た人たちが「あー楽しかった」と帰っていける空間を作る。その一翼を担えることに、すごくやりがいを感じます。
アニソンでは、自分の好きな曲をかけたことで、その曲や作品を知らなかった人が興味を持ってくれるのもうれしいです。布教活動ですね(笑)。
初めてジャパステに遊びに来る人へ、楽しみ方のメッセージをお願いします。
OROCHI
パーッと騒ぎたい日も、飲み会の二次会・三次会でも、出会いを求めてでも大歓迎です。僕らのJ-POP DJを聴くのも、音楽をBGMにして別の楽しみ方をするのも自由。
大音量で聴きたい曲があれば、DJに「これかけて!」と声をかけてください。軽い気持ちで、一人でもフラッと遊びに来てください。僕らがいます!
好きな曲から、好きな作品のMIX CDへ。
これからJ-POP DJを始めたい人が、まずやってみるといいことは?
OROCHI
最初に自分のDJを聴かせる大事なお客さんは、自分自身だと思います。最初は好きな曲を並べてかけるだけでもいい。まずは自分のテンションがMAXになる選曲をしてみるのが第一歩かと思います!
今後やってみたいことや、挑戦したい現場はありますか?
OROCHI
J-POPやアニソンのフェス現場でのプレイもしていきたいですし、これまでもアニメ・コンテンツ系のお仕事を何度かさせていただきましたが、今後はもっと挑戦していきたいですね。
いつか好きな作品の主題歌のMIX CDを任せていただけたら最高です。誰よりも良いものを作れる自信があります!
好きな作品の主題歌でMIX CDを作れるとしたら、どの作品を選びたいですか? 今思い浮かぶ構想を聞かせてください。
OROCHI
間違いなく『名探偵コナン』です。3歳の頃から親しんでいて、もう30年の付き合いになります。物心ついてからしばらくは、聴いていた音楽のほとんどがコナンの主題歌でした。作品にも、一曲一曲にも強い思い入れがあります。
1曲目は、小松未歩さんの「謎」から始めると思います。すでにファンの方には、曲からいろいろな話数やシーンを思い出してもらいつつ、新しい魅力も見つけてもらいたいです。
まだ作品に触れたことがない方にも、謎や危険の中で大切な人への想いを信じ続ける、コナンの世界観を感じてほしい。曲との出会いが、作品に興味を持つきっかけにもなるようなMIXを作りたいです。

最後の曲は……リリースされたら確かめてみてください(笑)。

OROCHI
2014年にDJ活動を開始。アニメソングとJ-POPを軸に、HIP HOPで培ったグルーヴを生かしてプレイする。秋葉原MOGRA「Xi-lium」のレジデントDJを務めた。
「ジャパステーション」や国内外のイベントに出演。MOGRAで「覇権アニソン会議」を立ち上げるなど、イベント主催にも取り組む。
構成・編集:ジャパラボ編集部 / 写真:提供写真

